法人1期目(独立から3年目)の振り返り
2025年1月16日に株式会社K-Nを設立し、1期目が終了しました。
独立してからの1〜2年目と比べると、案件の規模や難易度が大きく上がり、デザイナー・エンジニア・ディレクターそれぞれの立場で多くの学びがあった1年だったと感じています。
試行錯誤しながらではありますが、事業の方向性や自身のキャリアが少しずつ整理されてきた一年でもありました。
本記事では、この1年間を振り返りながら、どんな経験をし何を学んだか、今後どのような方向を目指していくのかを整理していきます。
開業から2年間の振り返りはこちら
目次
この1年を通して
2025年は結果的に、特にディレクター・エンジニアとしてのスキルが大きく伸びた一年でした。
昨年までは、比較的シンプルな構成のコーポレートサイトや小規模なECサイトの制作が中心でしたが、今年はより複雑な要件や開発を伴う案件が増えました。
後述するB2Bの卸売ECサイトや社内販売サイトなど、いわゆるウェブサイト制作という枠を超え、業務システムの一部をウェブサイト上に実装するような案件が多かった印象です。
また、大規模案件にも参画し、チームでの開発を経験しました。複雑な要件定義、他ベンダーとの調整、タスクの整理や進行管理など、個人で完結する開発とは異なるスキルが求められました。
前職ではホストシステム開発のプロジェクトリーダーを経験していましたが、久しぶりにその感覚を思い出す場面も多く、当時の経験が現在の仕事にも活きていると感じています。
プロジェクト別振り返り
2025年は全部で18社に関する案件を担当しました。ここでは特に、自身のスキルに大きく影響があった4案件を振り返ります。
CBD製品販売サイトリニューアル(2025年1〜4月)
WordPress(WooCommerce)からShopifyへの移行案件で、企画〜デザイン〜開発〜データ移行まで一気通貫で担当しました。
多種類の商品の整理、サイト構成の再設計、デザインの刷新を行い、ブランドの世界観を保ちながら購買しやすい導線に整えることを意識しました。
また、商品・注文・ブログ記事・顧客・ポイント・レビューなどのデータ移行も担当しました。プロセスが複雑で、リスクも伴うため、設計から検証まで時間を割きました。
この案件の詳細な振り返りはこちら
B2B卸売システムリニューアル(2025年1〜2026年2月)
某大手卸売企業の業務システムリニューアルの一環として、ECサイトをShopifyへ刷新する案件に参画しました。数百人日に及ぶ開発を、パートナー企業と5名体制で進めています。複数ベンダーとの調整が必要で、その点も含めて難易度の高いプロジェクトと感じています。
要件定義〜設計〜開発〜テストを担当しており、リリースは来年予定です。この記事を書いている現在(12月31日)も、テストケース想定書を作成しているところです。
B2Bサイトの開発は今回が初めてでしたが、以下のような要件が求められました。
- 得意先ごとの価格・条件・販売可能商品の制御を行う価格管理アプリの開発
- 注文データをCSVで取り込み、一括で受注を作成する機能
- 会員登録 → 審査 → 承認 → 購入可能、というB2B特有のフロー設計
海外への販売対応や複雑な検索、アプリ開発など実装難易度も高かったのですが、それ以上に「関係者の多さ」と「仕様確定までのプロセスの複雑さ」が印象的でした。
仕様は一度で固まらず、何度も議論を重ねながら前に進める必要がありました。技術理解力に加えて、顧客折衝力やマネジメント力、提案力などが求められました。
このプロジェクトを通して得られた学びとしては、以下が挙げられます。
- B2Bに必要なEC機能や考え方への理解が深まったこと
- チーム開発の基本(タスク分解、進行管理、レビュー、品質基準)を実戦で学び直せたこと
- ECサイトのバックオフィスまで含めた理解が進んだこと
などがあります。
大手企業の社内販売用サイト(2025年9〜11月)
社員だけが購入できるクローズドECサイトの構築案件で、要件定義〜設計〜開発〜テスト〜リリースまで担当しました。
社内販売という性質上、想定外のユーザーにアクセス・注文されないよう、以下のような制御を実装しました。
- 社員名簿や社員番号を事前にインポートし、一致しない人は強制ログアウトする機能
- 社外の人がサイトにアクセスできないようにする制御
- 事前にインポートしたデータと住所が一致しない人が注文するとアラートが上がる機能
要件整理の段階では、コスト・効果・リスク・実現可能性・スピード(納期)を踏まえ、複数案を比較しながら最適な実装方法を選べるようにすり合わせを進めました。
ドクターズコスメECサイト制作(2025年9〜12月)
美容皮膚科が運営するドクターズコスメ販売サイトの企画〜デザイン〜開発〜運用支援を行いました。
本案件は、パートナー会社を通さずにエンドクライアントから直接ご相談を頂いたECサイト制作案件でした。担当範囲や作業内容はいつもとほとんど変わりないのですが、責任ややりがいを大きく感じるプロジェクトでした。
特定の商品については、オンライン診療を受けた方のみが購入できるよう制御するなど、医療法規に配慮した設計が求められました。単に機能を実装するだけでなく、運用面も踏まえた提案を行いました。
来年以降は、追加ページの制作や運用サポートも予定されており、継続的に関わっていくプロジェクトになります。単なる制作にとどまらず、事業を成長させるお手伝いがしたいと思っています。
その他
その他にもWordPressサイト、Shopifyサイトを複数リリースし、保守・運用なども多数経験しました。
一方で今年は、制作そのものに加えて、事業の土台づくりや、自身のキャリア形成、にも意識的に時間を使いました。
会社紹介資料の作成(2025年12月〜2026年2月予定)
会社紹介資料の作成に着手しました。
これまでに獲得してきた実績やスキル、自身の強み、事業の方向性などを整理する必要があり、開業前からメンタリングをお願いしている大学の先輩の会社に、企画からデザインコンセプトの整理、資料制作までをお願いしています。
これまでは紹介経由で案件を頂くことが多く、自社サイトや会社紹介資料の整備を後回しにしてきました。しかし、来年以降より大きな案件に取り組んでいくためには、自社としての強みや提供価値を言語化しておくことが必要だと感じていました。
この取り組みは営業資料づくりだけでなく、事業やキャリアを整理する時間にもなっており、非常に良い機会だと感じています。
メンタリング(2025年9月〜)
高校時代の友人の妹が、Webデザイナーとして個人事業主を目指し始めたことをきっかけに、2週間に1度、90分ほどの勉強会を行っています。
目標やなりたい姿を一緒に整理し、ロードマップを描いたり、デザインの学習方法についてアドバイスをしたり、制作物へのフィードバックを行っています。
メンタリングをする立場ではありますが、この活動を通して、自分自身のスキルも大きく伸びていく感覚があります。
現状(As-is)を整理し、理想の姿(To-be)とのギャップを言語化しながら、どう進めば良いかを考えるプロセスそのものが、コンサルティング力の向上に繋がっていると感じています。
メンタリングを通して、「どう伝えるか」「どう伴走するか」の意識を高めることで、今後のヒアリングや提案にも活かしていきたいと考えています。
KPI
売上は前年比でおよそ130%程度まで伸びました。1年目→2年目程ではないものの、開業から2年連続増収増益です。
AIの活用によって業務スピードが向上したことに加え、案件の難易度が上がったことが主な要因だと感じています。
売上そのものを目的としているわけではありませんが、売上は「クライアントに提供できた価値の大きさ」や「自分自身の成長度合い」を示す指標と考えています。
来年以降も、価値提供の質・量を高めるために、着実に研鑽を重ねていきます。
次年度(2026年)以降の戦略と目標
ここからは、先日会社紹介資料の企画MTGで整理した、来年・再来年に向けた目標についてまとめます。
2027年までの目標
2027年(法人3期目)までに、大企業から直接ご相談・ご依頼を頂けるウェブ制作会社になることを目標としています。
大学院でのつながりなどを通じて、そのような機会に恵まれる可能性は十分にあると感じています。
声をかけていただいた際に、大企業の社内稟議に耐えうるスキル、体制、実績、業務スコープを着実に整えていく必要があります。
2026年の目標
上記目標を達成するために、2026年は今年に引き続き、特に以下の点を意識していきたいと考えています。
- より複雑なシステム開発に対応できるよう、開発力・要件定義力を高める
- ウェブ制作を中心として、幅広い領域(ウェブマーケティングやコンサルティングなど)にも対応できるチーム体制・スキルセットを整える
- 単なる制作に終わらず、事業の成長につながる提案がもっとできるようになる
おわりに
2025年も多くの案件に関わらせていただきました。
その中で得た経験や学びを、次年度以降は「強み」として磨き上げていきたいと考えています。
これからも一つひとつの仕事に丁寧に向き合いながら、より大きな価値を提供できるよう精進してまいります。
2026年もよろしくお願いいたします。